第四章 ·善後 解放

第四章·善後 解放

一片的屍體

一片的屍體

一片的屍體

一片的屍體

一片的屍體

一片的屍體

一片的屍體

血祭的小麻

一片的屍體

「失敗了」

縱覽了一下周圍後的,感想。

明明前途有望的逃家少年少女屍體散亂一地才是成功的證明。

倒在那邊的,只有昏倒了的殺人狂。

「しかし殺人犯のくせに僕を殺さないでくれるとは。友情を越《こ》えた何かのお陰《かげ》かな」

ただし下に越えているわけですが。

茂《しげ》みの奥を殺人|鬼《き》のライトで照らす。柳《やなぎ》の木が風に揺《ゆ》れているけど、幽霊《ゆうれい》はいない。

「浩太君他們好像確實地逃走了呢……」

後は、僕とこいつがお縄《なわ》になってお終《しま》いか。世界が主人公なら天下無敵のハッピーエンドだ。

殺人鬼の黒いフードを外す。生徒会便りで最も自己主張の激しい、金子《かねこ》と同じ部活動の部長が、泡《あわ》と鼻水と涙《なみだ》を垂《た》らして昏倒《こんとう》していた。格好はつけたけど、殺してはいない。

「過剰《かじょう》防衛になるのかな」

どう考えても防衛ではなく、攻撃《こうげき》の範疇《はんちゅう》だし。

「但是沒有買土產回去,也是沒辦法的呢道君」

對著昏倒的菅原道君如是說道。他在旅行前可是超級有人氣的呢。

「呐、道君」

結果,一次都沒有對這個稱呼表示反應的樣子。

「果然還是忘掉了吧。我、麻由和你自己的事情」

明明在以前遇到的時候,不管怎麽樣至少看出我是同年級的學生就好了。

之後至少想起麻由的話……事態會是什麽樣子呢。

尋找同類的殺人狂。

與其說麻由是殺人犯的同類,不如說是同型的。

複数形より、一人が二つと表す方が相応《ふさわ》しい。

並不是菅原想要的。

那麽、會發生什麽呢?

……也許,什麽都不會發生呢。

すれ違《ちが》って、末路はここなのか。

「真是的—、男女關係真麻煩呢」

経歴|詐称《さしょう》して同棲《どうせい》に持ち込んだ男子高校生の想像はここらへんが関の山である。

しかし、浩太《こうた》君達に吹《ふ》き込んだSF(少し不埒《ふらち》)物語はなかなかの出来だと自賛している。

監禁《かんきん》場所は目隠《めかく》しされて謎《なぞ》という方向にすること。特定の場所を指定するとボロが出るから。

犯人こと僕は両刀使いの上に子供好きという設定の変態《へんたい》にしよう。で、二人を外で嬲《なぶ》ろうとして連れ出したら、今をときめく殺人鬼《さつじんき》に遭遇《そうぐう》して、僕がそいつとドンパチやってる間に二人は二人三脚《ににんさんきゃく》的な連携《れんけい》で逃《に》げ出した。うん、完壁《かんぺき》。

僕の処女作は、二人の表情を実に微妙《びみょう》なものとした。嘘《うそ》だらけの話術で首を縦には振《ふ》らしたけど、オリジナルを尊重してくれるか些《いささ》か心配だ。世間に公表する前からアレンジされると、作り手として虚《むな》しい。

「大丈夫《だいじょうぶ》さ、素直《すなお》な良い子達……じゃ駄目《だめ》か」

それだとマユがブタ箱行きだ。次善の策は、穴だらけだ。

「……さて、あれに電話しないと」

嘘偽《うそいつわ》りなく不本意だけど。

携帯《けいたい》電話を取り出そうとして、手に握《にぎ》りしめているペン状の護身道具を思い出す。

「意外的有用呢」

スタンガンを手の中で転がしながら感謝。初日にクリア条件を達成しておいて良かった。

「但是、真的失敗了呢」

菅原《すがわら》が二人を殺してから警察に告発し、捕獲《ほかく》してもらおうと計画していたのに。

家出|兄妹《きょうだい》、凶行《きょうこう》に巻き込まれとか勘違《かんちが》いの解釈が浸透《しんとう》して、口|封《ふう》じを行い、僕とマユの嫌疑《けんぎ》が晴れるのに最適だと目論《もくろ》んでいたのに。

必ず助けるから囮《おとり》になってくれって騙《かた》って、それを承諾《しょうだく》するあの子達もどうかと思うけど、本当に助けてしまう自分は完全にどうかしている。

菅原が浩太《こうた》君達の上で停止した瞬間《しゅんかん》、僕は自動で動き出していた。

手近な武器を拾い上げ、突進《とっしん》。

理知的でクールでアンニュイのうち、最後だけ該当《がいとう》する僕としてはあり得ない失態。

「……やっぱあれだ、ライバルを目の前にして血潮を滾《たぎ》らせたとか……うん、そんな感じにしとこう」

薄《うす》っぺらい理由を後付けする。僕は人情モノのお涙頂戴《なみだちょうだい》劇に滅法《めっぽう》弱いんだよな。嘘だけど。そもそも、あの子達を風呂《ふろ》に入れてしまった時点から、計画は破綻《はたん》している。

「……僕のやることだからね」

上手《うま》くいった例《ためし》はありません、と。

「はい、反省会お終《しま》い」

スタンガンをナイフと同じ方向に放《ほう》り捨てる。

パーカーのポケットから電話を引っ張り出し、最新に登録された番号を選択《せんたく》して通話ボタンを押した。トゥルルル掛《か》ける十五。

「……あ、もしもし……寝《ね》るなジェロニモ、仕事だ。ええ、仕事。懺悔《ざんげ》?押入にお菓子《かし》を隠《かく》していたら腐《くさ》りました。……はい、殺入犯に偶然遭遇《ぐうぜんそうぐう》したんです。ええ、ぐ、う、ぜ、んです。一片の意志|介入《かいにゅう》の余地もなく天啓《てんけい》に従うことなく、運命の出会いを果たしたんです、とっとと捕《つか》まえに来てください。場所は公民館の近所の神社です。え、今?やだな、夜は眠《ねむ》るものですよ。はい、よろしく」

通話料が勿体《もったい》ないとばかりに繋《つな》がりを遮断《しゃだん》する。

画面に表示される、通話時間と料金を眺《なが》めながら、切れた電話の先の人物を思い描《えが》いた。

「思い出したよ、奈月《なつき》さん」

初めて会った時は、おねえちゃんって呼んでたことも。

「奈月さんは覚えてたのかな」

どちらにしても、尋《たず》ねたら『勿論《もちろん》一日たりとて忘れていません。むしろみーさんこそ忘れていましたね、思い出すのを一日千秋《いちじつせんしゅう》で待ち続けていました』とか言う。絶対言う。

八年前、監禁《かんきん》から解放された僕のもとに現れた警察のおねえさんは、そんな人だ。

「さーて、撤収《てっしゅう》しますか」

独《ひと》りで宣言《せんげん》し、立ち上がり、颯爽《さっそう》とその場を去る、ことが理想だった。

「あら?」

立ち上がれない。むしろ無様に倒《たお》れた。

菅原《すがわら》の隣《となり》に仲睦《なかむつ》まじく突《つ》っ伏《ぷ》してしまう。

「あららら、成長期によくある立ち眩《くら》み……いだ、ちょ、急にいて……」

身体《からだ》の穴空き部分に、熱が再発する。それに合併症《がっぺいしょう》として、一度消失した痛覚も蘇《よみがえ》ってきた。血の滴《したた》りが肌《はだ》から存分に伝わってくる。

この場を離《はな》れようとした途端《とたん》だ。誰《にれ》かがこの地《》に白魔法《しろまほう》でも唱《とな》えててくれたのか。

「あー……それいい。誰かとの心の繋がりが僕に影響《えいきょう》して脳内|麻薬《まやく》を分泌《ぷんぴつ》してくれたわけだ」

エンドルフィン万歳《ばんざい》。持ち上げてやるからもうちょっと踏《ふ》ん張れ。

試行錯誤《しこうさくご》する。右|腕《うで》と左足だけで移動出来ないかと、墓場から脱獄《だつごく》したゾンビを真似《まね》て砂利《じゃり》の上に這《は》い蹲《つくば》る。

「ふね、ぬい、てや……くっ、ガッツが足りない」

左|腕《うで》が曲がらない。上半身が痙攣《けいれん》している.右足なんか赤色の噴水《ふんすい》が設営されて市民|触《ふ》れ合い公園一般開放寸前だ。これだけで人間の動きなど制限されてしまう。人を吹《ふ》っ飛ばしたり消えたり分身することは夢のまた夢だ。

胴《どう》部や頭以外は致命《ちめい》に成り得ないと勝手に思っていたけど、流石《さすが》に二ケ所も大穴を空けると危険なのか。あれかな、動脈とかが切れてるのか。バス釣《つ》り名人が徳川埋蔵金《とくがわまいぞうきん》を掘《ほ》り当てるぐらいあり得ない血の流出が、僕の体温を苛《さいな》む。やたら寒い。歯が噛《か》み合わなくなってきた。

「止血……」

保体で習った止血法は、血と共に真っ先に記憶《きおく》から失われている。行う気力もない。

「やべー……気がしないこともなきにしもあらずと言わざるを得ない。救急単の出動を要請《ようせい》すべきかな」

けどそうすると、叔父《おじ》達に何と言われるか。飛び降りの一件で心証は最底辺だし。終《しま》いには叔母《おば》の手で打ち首にされてしまう。僕への過保護はつまり、数字の一に酷似《こくじ》した形のアルファベットを、抱《いだ》いているということなのだろうか。もしそうであるなら、嬉《うれ》しいとか以前に、どうしてか説明を要求する。ついでに引き取ってくれた理由も耳の穴かっぽじるから聞かせてくれ。

「なひょひゃひぇー……」

こんな時でも欠伸《あくび》は出る。

「眠《ねむ》い……」

寝《ね》たら死ぬだろうか。夜なのに視界の端《はし》が白い。その白色がじょじょに裸《はだか》の天使様の形へと変貌《へんぼう》し、タンポポだらけの畑を耕《たがや》し始める。農耕《のうこう》民族に対して喧嘩《けんか》を売っているような拙《つたな》い手つきで農作業を繰《く》り返す連中の耳にタンポポの綿を詰《つ》め込んで帰れと怒鳴《どな》り散らしたら本当に人生の最後だけど、生憎《あいにく》そんなものは見えていない。精々、足のない人ぐらいだ。

「……啊」

以前也有過的,這種事情。

受到了致命傷,昏倒的時候。

那個時候的傷現在還在腦袋上殘留著。

隠《かく》す為《ため》に髪《かみ》を梳《と》かずに、伸《の》ばしていた時期もあった。

けど夏の暑い時期に鬱陶《うつヒう》しくなって切り落とした。

誰《だれ》に隠《かく》す必要があるんだと思い直したこともある。

あの時の爽快《そうかい》感は清水を浴びるより清々しく……あれ?

これって走馬燈《そうまとう》じゃん。

「糟糕了糟糕了」

三度目の正直ってやつか?古人の言い分は真なのか?

……試《ため》してみたくなる。

自分に根付く狂人《きょうじん》がそれを主張し、僕は二つ返事で受け入れた。

眠ることにした。

家族のこと、マユのこと、菅原《ずがわら》のこと、先生のこと、奈月《なつき》さんのこと、あの子達のこと、学校のこと、受験のこと、幸せのこと、みーくんであるということ。

全《すべ》てを置き去りにして、独《ひと》りで眠ろう。

生きることも死ぬことも望まず。

ひとやすみ、ひとやすみ。

我是個笨蛋。

人がそこまで正直に生きるものだと、夢見ていた。

僕は、あの幼い兄妹《きょうだい》に最後に嘘《うそ》をつかれ、物の見事に騙《だま》された。

約束が守られなかったことを、僕は後日知ることになった。

今昔故事《XX與我》

大人全部都死了。

我的爸爸、小麻的爸爸和媽媽、妹妹的媽媽全部都死了。

好可怕。謊言。

好悲哀。謊言。

好想哭。謊言。

都是謊言。

但是那些話語會如何把什麽變成怎麽樣,我是完全不了解。

實際上我把什麽怎麽了嗎?

警察姐姐什麽都沒有回答。

警察姐姐溫柔的笑著、大哭了。

爸爸把男孩子和女孩子帶了回來。

男孩子的頭髮短短的、大大的眼睛鼓溜溜的轉。女孩子個子很小鼻子也很小、眼睛是明亮的紅色,直直的看著男孩子。兩個人被麻繩一圈圈的捆住,嘴巴被布封上了。

怎麽說呢,很奇怪。

自從哥哥死了之後,爸爸就變得有點奇怪。之前明明幾乎不説話,卻變得很陽光。有時候會對著收音機説話,拜此所賜有時候也會對我説話。ぼくは男だけど、死んだおかあさんに顔のかたちがにてるって言われて、その後なんでか分かんないけどたたかれたりかまれたりしていた。

おとうさんのようすをかいだんの上から見ていたぼくは、おくに行ったことを見てからいもうとのおかあさんにそのことを話しにいった。いもうとのおかあさんは昔のおとうさんみたいにいつもぶすーっとしてるけど、ぼくのことをたたかないから今のおとうさんよりはすきだった。

いもうとのおかあさんにおとうさんと男の子と女の子の話をしたら、すぐににげなさいってこわい顔で言った。それで、どこかのお家《うち》に入って、ゆうかいはんがいるって伝えなさいってぼくに早口で言った。ぼくは、なにがなんだか分からなくて、ゆうかい?って聞いた。いもうとのおかあさんは、もうちょっとテレビを見るようにってめずらしく笑いながら言って、ぼくの手をひっぱって立ち上がった。へやの入り口には行かずに、まどの方に近寄ってかぎをあける。まどの外はうらにわで、ぼくがよくいもうとにたたかれていた場所だった。いもうとのおかあさんはぼくをほうりなげるように外へ出そうとする。おかあさんはどうするのって聞きたかったけど、この人はいもうとのおかあさんだから、ぼくはどうよべばいいのかなやんで、動けずにぐずぐずしていた。

そして、おとうさんがすごくこわい笑い声をあげてへやに入ってきた。

いもうとのおかあさんがぼくを外につきとばした。

ぼくはひじを地面にうって血が出たけど、そんなことよりもおとうさんがこわくて、いもうとのおかあさんに言われたとおりにげんかんがわへ回ってとび出した。

外は田んぼばっかりでなんにもなくて、どこに行けばいいかぜんぜん分からなくて、でもまよってるのが一番だめだから、小学校に行くことにした。そのとちゅうによっくんのお家と竹田のおばあちゃんのお家がある。

ぼくが田んぼのまんなかを走っているとおとうさんがすぐにおいかけてきた。

いもうとのおかあさんはどうしたのって聞きたくて知りたくてこわくて、ふりかえった。

おとうさんの持っているバットの先に、赤いものがついていた。

それだけで聞かなくても知ってしまい、こわさに泣いた。

ぐんぐんと、大人の足がおいついてくる。ぼくは走るのはとくいだったけど、にげるのははじめてだからすぐにいきがあがってしまった。足も、地面をけっているかどうか分からなくなってくる。

そして、田んぼと道のさかいで足をひっかけて、ころんでしまった。

ぼくはいたくて、こわくてこわくてこわくてこわくてぶわってなみだが出てきた。

にげたくても、息をするのもくるしくて、からだがいたくて動かない。

けどやっぱり、それでもにげなきゃ、だめだったのに。

かげがぼくをおおった。

足を思いっきりふまれて、ゴリッてにぶい音がした。今までで一番いたい。

そのあと、バットで頭をたたかれた。

それはぜんぜんいたくなかったけど、すごくねむくなった。

おとうさんが、男の子と女の子をゆうかいして帰ってきた日の話。

三天後得知我還活著的地方,果然還是在醫院。

左腕的肉被削掉一半、右腿的血管這樣那樣的重傷。

是被死地排斥了嗎?至少還是活下來了。

相手が興味を引く話を命|乞《ご》いのようにして、意識が内面に傾《かたむ》いた一瞬《いっしゅん》の虚《きょ》を突《つ》いて襲《おそ》いかかるという、三流の小悪党が悪あがきに用いる戦法で勝利して、僕は生き残ったのだ。

切なくなった。

自分がとことん主人公から縁遠《えんどお》いことに嘆《なげ》きつつも、勝てば官軍という勝者の論理が僕の小心を慰撫《いぶ》してくれることは想像に難《かた》くない、

大概。

醒來的時候是已經經過兩天的十一月五日。

官軍どころか、言葉の監獄《かんごく》に囚《とら》われていた。

「たわけ」「は……」「どだわけ」「方言で罵倒《ばとう》されても」「くそどだわけ」

「それはロクデナシってことですよね」

奈月《なつき》さんの笑顔は今日も冴《さ》えている。灰色のスーツを着こなして髪《かみ》を下ろした姿は、就職活動中の大学生と紹介《しょうかい》されても『ウチは未成年は雇《やと》わないよ』としか言い様がない。

病院、昼下がり、独身|三十路《みそじ》のお姉さんという三要素が鏡餅《かがみもち》のように重なり、平手打ち警報が発令されている。波浪《はろう》注意報ぐらい無縁《むえん》であってほしいのに。

「那是醫生的傳話嗎?」

「嗯嗯。啊、第三項是我說的」

他人の尻馬《しりうま》に乗って人を罵倒《ばとう》するねや、と言いたいところを堪《こら》える。

助けられた手前、どうにも強い態度は取れないのだ。

それに、この人に頼《たの》み事をして借りを作ったので、力関係を覆《くつがえ》すことが根深く困難の領域となってしまった。債権《さいけん》者と債務者の疑似関係を体感している気がする。

「後、二度と顔を見せるなと。これで再生|終了《しゅうりょう》です」

「……そうですか」

「あらあら、落胆《らくたん》しなくても大丈夫《だいじょうぶ》ですよ。一週間もすればあいつの方が根負けしてここに来ますから」

教祖の如《ごと》き断定口調で予言を告げる。そうなるといいな、と少しだけ願った。

奈月從椅子上挺直了身。

「那麽,假扮道君的道先生」

「那個,麻由現在在的」

いつぞやの誰《だれ》かさんと同じく、僕の脇《わき》で眠《ねむ》る健康優良精神|障害《しょうがい》児を指し示す。

「まあ、平日のお昼なのに何故《なぜ》ここにいるんでしょうか」

「そんなこと考えなくても分かるでしょう」

「金の無心ですね」

「考えろ」

疲《つか》れる。溜息《ためいき》ばかりが積もる人付き合いだ。

人のふり見て我がふり直せとは古人も上手《うま》いことを言うものだ。これからは人付き合いを程程《ほどほど》にして、地球に優《やさ》しい人間になろうと決意したの反対をした。

「接下來,道先生,有幾個非問不可的問題」

你最好乖乖回答,那個笑容中仿佛這麽說著。當然是馬上答應,「請說」。

「首先……是菅原君的事。他是殺人犯這件事,你什麽時候發覺的?」

從一開始。

「沒有啊,那種事我做夢都夢不到況且最近連夢都久疏問候了。我失眠了。」

「………………………………………………………………這樣嗎。」

沉思的時候笑容崩敗了兩次左右,但惡魔奈月還是沒有放下淑女的微笑。

「那麽是在五天前的晚上保護逃家的池田兄妹回家偶然踫到菅原君然後九死一生的活下來了……」

「就是如此」

胸を張って答えた。今度は形だけでも納得《なっとく》してくれず、奈月さんの口端《こうたん》がひくひくと引きつる。僕だって、初回時は驚《おどろ》きを隠《かく》すのに苦労した。

我和麻由是逃家之後的監護人。

那些孩子好像是如此對警察那幫人提供證詞的。

あなた疲《つか》れてるのよ、と忠告してやりたいぐらいの錯乱《さくらん》ぶりだ。

一度でも疑問系な素振《そぶ》りを見せれば嘘《うそ》と断定されるので、池出家族が揃《そろ》って見舞《みま》いに訪《おとず》れた時も、僕は口裏を合わせてしまった。その後は、両親の喧嘩《けんか》が一時的にせよ収まったことに感謝された。

……そこで、何となく疑問が浮かんだ。自分に対して。

僕は本当は、それを狙《ねら》っていたんじゃないかって。

あの子達に好意的な態度を示して、良心を疼《うず》かせ、無罪の証言を誘導《ゆうどう》したんじゃないかって。

今も、その件については懊悩《おうのう》して、結論が出ない。

「按照菅原君的證詞,他從修學旅行回來的隔天在桌上看到一封讓他晚上十點到指定地點的信。而那位招呼他出去的人並沒有出現,這是?」

「沒關係的人吧。拜那個人所賜讓我和菅原都惹了一身麻煩啊」

轉頭,望著被包紮的左腕和吊起來的右腿感到悲嘆。

「……那上面寫著『殺人犯先生,我是同類』,這又是?」

「也就是說他不是靈長類而是恐龍人吧」

「……手土産《てみやげ》付きですとも書かれてたそうですね」

「やっぱり土産物は名産品の鮎《あゆ》の甘露煮《かんろに》ですか。原産地の明記は言い逃《のが》れ対策にアジア」

「……在深夜把池田兄妹送回去的理由是?」

「雖然時間還沒到但是在玩扮演聖誕老公公的遊戲」

腹黒の人聞の白々しい態度に、奈月《なつき》さんも辟易《へきえき》している模様。珍《めずら》しく、目眩《めまい》を抑《おさ》えるようにこめかみに指を当て、肩《かた》を落として参った感を演出している。

「道先生真是誠實的人呢」

自分に、という恨《うら》み節の台詞《せりふ》が途中《とちゅう》に入っていることが伝わってくる。

說我這個騙子誠實。

真是強悍的台詞,是在對付壞蛋的決勝台詞啊。

悠長《ゆうちょう》にそんなことを決定していたら、奈月さんのおみ足が振《ふ》り上げられた。そして力を溜《た》めて振り下ろされる。尻《しり》で椅子《いす》が弾《はじ》かれ、中途半端《ちゅうとはんぱ》に履《は》いていたスリッパが爪先《つまさき》から射出されてベッドの下を滑《すべ》って通過し、壁《かべ》に特攻《とっこう》する。派手な演出で立ち上がり、僕のベッドの左側に回り込む。

大変よろしくない予感がした。

「狭《せま》いんですから詰《つ》めてくださいね」

笑顔《えがお》で邪魔《じゃま》者|扱《あつか》いしてきた。怪我《けが》人の僕を。肩《かた》を掴《つか》んで、右に押し退《の》けようとしてくる。

「ちょいとそこのおねえさん、僕の足を見てください」

吊《つ》ってあるんだぞ、動かすな。

「爪《つめ》はちゃんと切りましょうね」

面倒《めんどう》見の良いお姉ちゃん口調で僕の脇腹《わきばら》を蹴《け》り、強引にマユ側へ移動させて、空いてすらいない場所を無理矢理空き地にして不法|占拠《せんきょ》し、居座る体勢になってしまった。

どんな状況《じょうきょう》だよ。

真ん中に男、脇に女性二人で川の字を描《えが》く。表現だけなら男|冥利《みょうり》に尽《つ》きるけど、外に足を出せない僕が一番|狭《せま》いことを考慮《こうりょ》すれば単なる苛《いじ》めである。

奈月さんの手が僕の肩《かた》に添《そ》えられ、間近で顔を突《つ》き合わせることになる。顔の間に奈月さんの金糸のような髪《かみ》が散らばり、指で掬《すく》い上げたい衝動《しょうどう》が少し指先を焦《こ》がした。

「……僕の常識が間違《まちが》っているのかな。どいつもこいつも、見|舞《ま》いに来てプール開きの小学生よろしくベッドに飛び込んでくるのは公序良俗に基づく社会常識なんでしょうか」

歯軋《はぎし》りの酷《ひど》い背中のお嬢《じょう》さんも、ハローにワークな元医者も、人聞笑い袋《ぶくろ》の刑事さんも立派な人間社会の住人であり、僕だけが仲間外れで一人妄想《もうそう》した社会の観念に囚《とら》われているとでもいうのか。

「どいつさんとこいつさんは知りませんけど、私は最近|眠《ねむ》っていませんので。殺人犯を護身術の殺人|柔道《じゅうどう》で撃退《げさたい》した私は色んな方向に引っ張りだこで体と心を休める時間がないんです」

しれっと皮肉を言い放つ。口笛を吹《ふ》こうとしたらその前に唇《くちびる》をタラコに摘《つま》まれた。

そう、このお方こそ、今や時の人である上社奈月《かみやしろなつき》さん。未曾有《みぞう》の殺人事件を解決した、名刑事《けいじ》……と、されている。

僕が奈月さんに頼《たの》んだことは、菅原《すがわら》を確保した人の肩替《かたが》わりだ。

過去の事件とどんな形であれ、関係を残したくなかったから。

しかし、マユや先生との関係は出来るなら継続《けいそく》していくことになるであろう矛盾《むじゅん》。

いいのだ、矛盾を抱《かか》えて生きる方が人間らしい。

「呐、小XX」

ざらりとした、砂を耳の穴いっぱいに詰《つ》め込まれていくような感覚が鼓膜《こまく》を震《ふる》わせる。

事件以来、ノイズとしか受け取れなくなってしまった、僕の名前が呼ばれた。

「哎呀、真是了不起的怒顏呢」

「我很討厭那個名字。完全沒考慮過我是男的」

「只有這個原因?」

奈月さんが確信に満ちた笑顔で、柔《やわ》らかい追及《ついきゅう》をしてきた。恋日《こいび》先生の友人という時点で、その質疑への解答は持ち合わせているはずなのに。意地の悪さに底がないという評価は、是非《ぜひ》ともこの人にお譲《ゆず》りしたい。

「それだけですよ。でもそれがこの上なく嫌《いや》な反抗《はんこう》期少年なんです」

僕の受け答えとは対照的に、奈月さんは輝《かがや》きを目|一杯《いっぱい》トッピングした微笑《ほほえ》みを浮かべる。それから僕の髪《かみ》を手の平で、微風《びふう》のように撫《な》でつける。

「我明白了。那麽稍微改變下,今後還是叫你道先生吧」

これからも末永くお付き合いする予定を既《すで》に入れられてるのでしょうか。

無視我的困擾狀,奈月警官切入了本題。

「菅原君就是小麻的青梅竹馬,同時也就是道君吧?」

「就是如此」

「然後,道先生就是誘拐犯的兒子,二代道君」

「非也非也,我只是個代理。菅原君一回來我馬上退休」

雖然不知道會不會有那樣的一天。

……但是,代理。能這麽認定也只是在麻由的記憶間隙存在著。

麻由已經忘了我和菅原的事情,只對道君有反應。

這就是曖昧的地方。

從御園麻由的視角來看『道君』的基本構成是菅原。是來自被誘拐以前的回憶。但是菅原在事件中從被虐的一方轉換成施虐的一方。還記得因爲我的父親開玩笑導致菅原對麻由施虐。菅原爲了保身逃走之後,矛盾就出現了。麻由無法接受這個現實。於是認定傷害麻由的是『不認識的男孩子』而開始稱呼有相同情況的我『道君』。具體來説就是產生了斷層。

麻由的世界中有被稱爲道君的某人、被認定為虐待她的不認識的男孩子,而我就完全沒有在裡面。

而且,事件後有形影不明的『道君』來幫助她的記憶對她來説是唯一的真實。

所以麻由應該無法回憶説明出我的雙親是如何死亡的。

「……混蛋騙子」

雖然沒什麽資格這樣批評。

「這是自嘲嗎?」

「你在說什麽啊,對誠實的孩子。僕は犬のポチがここ掘《ほ》れワンワンと鳴いたら、お前が掘れよ!と逆ギレするくらい正直ですよ、嘲《あざけ》るところなどありません」

自分でも最近、何を言っているのか分からない時がある。若年性認知|症《しょう》でも始まっているのか。

很高興的摸著我頭髮的奈月把手轉向了我包著綳帶的手腕。雖然傷口感覺不痛但是還是會癢。但是瘙癢是被禁止的,真是一種拷問。

「如果再晚個十分鐘出血死的幾率就會上升五成、醫生這麽說」

「錢、錢的話我可沒有哦」

恩で強請《ゆす》られることに牽制《けんせい》をかける。奈月さんは気分を害した風もなく、続ける。

「恋日《こいび》が愚痴《ぐち》ってましたけど、みーさんは昨今の少年|漫画《まんが》みたいに、殺されそうになっても何故《なぜ》か死なないそうですね」

「まあ特徴《とくちょう》の一つでは……それ、愚痴《ぐち》なんですか?」

「唔呵呵呵呵」

じゃねえよ。

額を押さえたかったけど、右|腕《うで》はマユの腕|枕《まくら》として機能している。仕方なく、二酸化炭素だらけの息を吐《が》き捨てるだけに留《とど》めた。

「……也是,又沒死成呢」

以爲會死結果活下來,這已經是第三次了。

幼少期に金属バットでおとうたまに頭を殴打《おうだ》され、思春期にデパートの屋上から迷惑極《めいわくきわ》まりない飛び降りを果たし、成長期に殺人鬼である少年と戦って切り裂《さ》かれて。

被人保護而生存下來的經驗這是第二次。

年端《としは》もいかない兄妹《きょうだい》に嘘《うそ》で助け船を出されて、そしてもう一つ。

八年前,在混亂了的小麻襲擊我時,妹妹的媽媽救了我。

就像在保護胎兒一般包覆住我的身體,保住了我。

不論背後被利刃插入多少次。

肉被貫穿的感受經過身體的接觸傳遞了過來。

什麽都沒有說。什麽反應都沒有。什麽都沒看見。

只有震動。

妹の母親は、そんなぼくの背中を抱《だ》き寄せ、あやすように叩《たた》く。

因爲是母親吧。

眼淚一起零零落落的滴下,這樣的話。

很抱歉並不是X。

救我的理由在一個月後才開始理解。

麻由力盡伏倒的時候,母親還抱著我。

已經死了。

雖然理解了,但還是沒有動。

繼續抱著。

只有一瞬,成爲我母親的人。

「憎《にく》めない悪役は最後まで生き残るものなのですよ」

内面とは裏腹に、明るい声を出す。自分にも嘘《うそ》をついていることになるのだろうか。

奈月《なつき》さんはそうですか、とそれだけ言って黒豆の瞳《ひとみ》を表舞台に立たせる。見方を変えれば、裏表のない、澄《す》んだ眼《め》。人形の顔も人の顔も、人の意志が形作るのに差はない。微笑《ほほえ》みもまた同じ。

「恋日《こいび》、曰《いわ》く」

「古人曰くみたいですね」

僕の茶々は無視された。

「みーさんは蛾《が》のようだと」

「傷ついていいですか?」

蛾て。蝶《ちよう》も縦ロールかはたまた仮面の怪人《かいじん》って感じでどうかと思うけど、蛾て。

「意味は私には分かりません。動物|占《うらな》いかなにかでしょう」

「なーんだ」

納得《なっとく》した。それなら蛾の人も大勢いるからいいや。徒党でも組むか。

「みーさん」

「今度は何ですかアメリカシロヒトリの話ですか?」

奈月さんは再会の約束を果たした恋人のような、後光さえ差す美の微笑《ほほえ》みで言った。

「我相信你」

滿嘴謊話的女人。

「先日、逃《に》げる鶏《にわとり》を剣《けん》で突《つ》くかの如《ごと》く犯人扱《あつか》いされたという記録が残っているんですが」

「やですね、菅原《すがわら》君が犯人だという話をしただけなのに自分のことと思い込んで、みーさんったら感受性が強すぎます」

お茶目さん、とか言いそうな勢いで肩《かた》を叩《たた》かれた。負けず嫌《ぎら》いはこれだから。

「……………………………………」

僕が犯人となっていたら、『みーさんが犯人と信じていました』だろうな。

まあいいや、これで僕とマユの罪は放免《ほうめん》、と。

「ほんとにみーさんったらかわいいんですから」

「そりゃどうもス」

「まるで歳《とし》の近い子供みたいです」

「近くねえッス!」

幾《いく》ら外見が若くとも、実年齢《じつねんれい》まで一緒《いっしょ》くたにされては敵《かな》わない。

しかし若者の主張は無視された。

「むしろ双子《ふたご》」

「まぼろしに包まれすぎッス!」

少年の叫《さけ》びは地獄突《じごくづ》きに喉仏《のどぼとけ》を潰《つぶ》されて死んだ。

「ぐえ」

「きっと、恋日《こいび》もおんなじです」

「だから、……げ」

背中から、うゆうゆと聞き慣れた目覚めの音がした。冷《ひ》や汗《あせ》が毛穴の前で噴《ふ》き出る準備をし始めているのが分かる,中古の扇風《せんぷう》機の首|振《ふ》り機能より緩慢《かんまん》に、背後を向いた。

「みーくん……」

目を擦《こす》り、僕の顔を確認《かくにん》する。何故《なぜ》だ、普段《ふだん》は三時間程度では目を覚まさないのに、今日に限って。エクスクラメイションマークを用いた会話をした所為《せい》か?記号の自由も許されないでなにが言論の自由だ、なんてとち狂《くる》ってる場合じゃない。奈月《なつき》さんにレッドカードを渡《わた》して即刻《そっこく》退場してもらわないと。

「なつ……っく」

遅《おそ》かった。もう間に合わないことを悟《さと》り悔《く》やみ、唇《くちびる》を噛《か》む。

マユが覚醒《かくせい》した。

腕枕《うでまくら》に垂《た》らした涎《よだれ》をじゅっと吸い込む。

あ、真顔になった。

見てる見てる、僕の背中のパッキン女性を凝視《ぎょうし》してる。

今にも青筋が額に浮かび、「アパカッ!」とか叫《さけ》びながら顎《あご》を拳《こぶし》で打ち砕《くだ》きかねない。

今度こそ死んだかも。

しかも原因は冤罪《えんざい》。

報われねえッス!

けど相応《ふさわ》しい気もした。

嘘《うそ》の罪で殺されるなんて、狙《ねら》いすぎなほどだ。

南無《なむ》、と諦《あきら》めの境地に立つ僕に、救いの一手が、和《なご》やかな声で放たれた。

「好久不見、小麻」

柔《やわ》らかい挨拶《あいさつ》。それを聞いて、この人が全《すべ》て知り得ていることを理解した。

麻由眯起眼,比對著我和奈月警官。

在經過如白芝麻般美麗的腦漿全速運轉之後,獲得了令人驚訝的解答。

「有兩個道君!」

「……非也非也」

申し訳程度に否定。自分の命はお大事に。

但是、真有趣。

麻由把我或其他人認定為道君是需要特定的鑰匙。

那是大家都可以用、但只有我在用的東西。

就是方才奈月警官說出來的『小麻』。

道君和小麻是等同於核發射開關的兩把鑰匙。

也就是說,只要稱呼她小麻,不論性別都會被判定為道君。

「有一個道君、有兩個道君、有三個道君……啊哇哇哇」

地獄《じごく》絵図を見ているようだ。僕だって奈月さんが三人いたら二人は殴《なぐ》り倒《たお》す所存だから気持ちは分かる。

「夢、這個是夢」

マユは夢のまた夢に逃《に》げ込むべく、眠《ねむ》りに落ちた。

危険が去ったことに、冷《ひ》や汗《あせ》も安堵《あんど》して引っ込む。

「みーくんは薄《うす》っぺらですね」

優《やさ》しい声色《こわいろ》の辛辣《しんらつ》な評価を頂戴《ちょうだい》した、振《ふ》り向きはせず、そのまま切り返す。

「今頃《いまごろ》気付いたんですか」

「今だから気付きました」

格好良く聞こえる言い回しだった。

「これからもみーくんとして生きるんですか?」

デートで昼食を取った後の予定を尋《たず》ねるぐらい軽い口調。

「……考え中です」

将棋《しょうぎ》のタイトル防衛戦に臨《のぞ》む名人級に厳粛《げんしゅく》な態度の返答。

「考えられることは幸せですね」

それを最後の祝辞として、後方からは寝息《ねいき》が上がり出した。

病院の硬《かた》いベッドはそんなに安眠《あんみん》を提供してくれるのだろうか。

寝《ね》ることだけが娯楽《ごらく》の入院|患者《かんじゃ》としてしか横たわったことのない僕には、見舞《ま》い客の心情は分からない。

仰向《あおむ》けになる。昔でも最近でも今でも、天井《てんじょう》は無駄《むだ》に漂白《ひょうはく》している。

やるべきことをやろうと思った。

高校二年生の秋も末。

少々早いが、進路|選択《せんたく》といこう。

「………………………………………………………」

心を廃《はい》して、けれど意志のあるいきものになりたかった。

それが自分の幸せだと信じていた。

けど、無理だった。

そんなものになれていたら、そもそもマユを助けようなんて、思わなかった。

……中途半端《ちゅうとはんぱ》だ。

地下を掘り進めて、空が見えないほどの場所までたどり着いた。けど、行き詰《づ》まった。次の地層は決定的に異質で、シャベルを突《つ》き立てることも到底《とうてい》出来ない。それは物と者の境目か、はたまた想定されていない部位なのか。

計画性のない穴掘りは帰路となる足場も失われて、人並みの場所まで戻《もど》ることも許されない。

そしてそこで佇《たたず》む時間が長すぎて、光を怖《こわ》がる異物となった。

「……………………………………」

さあ、どうしよう。

これから僕はどちらに行けばいいのか。

ぼくに戻るか、僕であり続けるか。

退《しりぞ》くか、埋《うず》まるか。

マユのことも考えて決めないといけない。

僕であるなら、心を現状で維持《いじ》する必要がある。

マユと付き合うのに、健常な心は不適応だ。

けどもし、ぼくでありたいなら、いい加減に心を起こさないといけない。

眠《ねむ》ったまま人と付き合うのは失礼だろう。マユに対しても。

両|極端《きょくたん》な選択《せんたく》を決断する時は、限界まで期間を引き延ばして今に至る。

しかし考えることさえ放棄《ほうき》してきた自分は今その時、病院にいる。

病院という環境《かんきょう》には退屈《たいくつ》という時間が湯水のように溢《あふ》れて溺死《できし》しそうなほどある。

考えて、考え抜《ぬ》いて、考え極めることが許される。

不幸中の幸いというやつだ。

「幸福、啊」

在我奔走、欺騙、被拯救的事件中,保護到了麻由。

所以,我從此之後要開始構築幸福的家族計劃。

有如此單純的想法,這也是僅有的幸福吧。

現在的我幸福嗎?

那麽就沒有必要感到迷惑了。

但是,我自己卻不這麽認爲。

有新的幸福嗎?

在不幸的背景中,有那麽一點幸福嗎?

「如果有、那就好了呢」

就算沒有感覺到、直接置身其中也是不錯的。

這樣的話、不論是冒牌貨的我、還是什麽都辦不到的我,自己的價值都不會被磨滅。

幸福是不論真假的。

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